平日の昼風呂

私の住んでいるアパートは五階建てで、築年数はおそらく30年程度。しかし、部屋は私が住む直前にリフォームされたらしく綺麗なフローリング、そして新宿が一望でき、天気がいい日には富士山も見えるという、なかなか心地の良い家であると思っている。

だけどもデメリットはある。電車の沿線にあり、騒音と揺れること。
しかしこれに関しても考えを改めてみれば、そうデメリットでもない。どれだけ爆音で音楽を流しても苦情が来たことがないので好都合でもあり私はそこまで気にしていない(もちろん夜中には音楽は爆音では鳴らさないし、ほとんど聴かない)。

そして、もうひとつのデメリットはお風呂が臭いこと。
住み始めた当初はとにかく臭かった。生活に支障をきたすレベルじゃないかなと思ったほどである。
しかしこの問題に関しても、業務用の排気口洗剤みたいなものを買ってみると、ほとんど解決した。
バランス釜という昭和を気軽に感じられる面倒くさいお風呂に、私はそれ以来ほぼ毎日、身体を沈めている。

昼にも入りたいなと思うことがよくあって太陽の光と電車の騒音を浴びながら湯に浸かる。
そして、お気に入りの本(最近はkindleすらお風呂に持ち込む)を読んで快適に過ごすのだが、私のアパートは喫煙者が多いらしく、お風呂場の開け放しの窓からタバコの匂いが微かに香る。
おそらく、昼間にこのマンションにいるのは私と週2回くる掃除係のおばさんくらいだが、下の階の住人がヘビースモーカーらしく、本人がいなくとも匂いだけは残っているのだ。

私は嫌煙家ではあるが、どうもこの瞬間に匂うタバコの香りだけは別みたいだ。
平日の昼間にこの安アパートに私一人。汗をかいて働いているであろう主人の残り香に心地良くしてもらい、私もていたらくの汗をかきながら読書が捗るのであった。